ピースフルスクールプログラムは、90年代のオランダで生まれました。いじめや子どもの問題行動が増加したことを受け、学校や教室の雰囲気を改善することを目的としたシチズンシップ教育プログラムの開発が国家レベルで進められました。対象は幼児・小学生。道徳教育が「人間の基盤」を育成するものであるのに対し、シチズンシップ教育は、「社会の一員としての責任と行動のありかた」を教えることを目指しているのが特徴です。教案は6つのユニット(上図)に基づき、「自分の意見を持とう」「どうしてそう思うのか伝えよう」「いやな時は『やめて』と言おう」「対立とけんかの違い」など、26のレッスンで構成されています。他者の気持ちを理解するために、まずは自身の気持ちを認識し、それを言葉で伝えたり、コントロールしたりすることを学んでいきます。
日本におけるこのプログラムの普及活動に取り組んでいるのは、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団です。代表理事の熊平美香氏は、「ピースフルスクールプログラムが目指していることは、『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)』とほぼ一致している。このプログラムを通じて、子どもたちがよりよい関係性を主体的に育んでいく姿は、先生や保護者にも多くの気づきをもたらす」と語ります。すでに東京、神奈川、北海道の幼稚園や保育園などで導入が進行中。次代を生き抜く地球人教育は、始まっています。
教案はこちら
『ピースフルスクールプログラムー主体性・多様性・協働性を伸ばす。内省する力を育む。ー』熊平美香・福嶋史(著)