チェキからの贈り物は笑顔と思い出 子どもの感性を育てる教材

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 「先生、こっち向いて!」「すごい、浮き出てきた!」。9月12日、閑静な住宅街に佇む久我山幼稚園から子どもたちの明るい声が聞こえてきます。子どもたちの手には人気のインスタントカメラ「チェキ」。同園では、チェキを使ったワークショップ(以下、WS)を開催しました。本WSは「子どもたちの情操教育にチェキを役立てられないか」と考える富士フイルム(株)による提案のもと、教材化に向けて全国3カ園で実施されたうちの1つ。WS後もチェキを一定期間無償で貸し出します。

 普段写真を撮るときは、保護者のスマホを使う子どもが多いようですが、小さなファインダーを覗いて、被写体にグッと近づいて撮影するチェキは、デジタルネイティブ世代にとって実に新鮮。さらに、フィルムに撮影した写真が浮き出てくる様子に驚きの声もあがります。

 3人1チームになり、友だちや先生を撮ったり、花や虫、遊具など好きなものを撮ったり、同じテーマでもチェキで写す子どもたちの目線は十人十色です。浮き出た写真を見て子ども同士で楽しくコミュニケーションをとっていました。

 チェキで撮影した写真は専用アルバム「写真のない図鑑」に残していきます。ページには「くるま」「はな」「かっこいい」などのテーマがあり、思い思いの写真を保管して自分だけの図鑑を完成させることができます。図鑑の最終ページのテーマは「きみ」。WS中に友だちに撮ってもらった自分の写真を入れて、子どもたちも満足気。チェキは、撮影者である自分と被写体との距離を心身ともに縮めてくれます。

創造性=楽しさ+経験

 創立68年を迎えた同園では、創立間もない頃から、茶道やリトミック、絵画など園児の創造性や感性を育む教育を続けています。

 「人間の一生は人類の進化の過程に例えられることがある。幼児期は原始時代。自分の身体を使って見聞きし、体感することが大切」。園長の野上秀子先生は続けて、「子どもたちの柔軟な心は、取捨選択することなく何でも吸収してしまう。だからこそ、子どもたちには“本物”と接してほしい」と教えてくれました。

 集団遊びや交流を促すチェキは「楽しさ+経験」。創造性を生み出すような行動との組み合わせが教材化の鍵になりそうです。

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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