教えて!森脇さん② 前編「保育士『本音』を知っていますか?」」

森脇 潤一(Moriwaki Junichi)氏

 岡山県生まれ。博報堂DYグループを経て、(株)リクルートマーケティングパートナーズ入社。保育園と保護者をつなぐコミュニケーションサービス「kidsly(キッズリー)」を企画・開発。まなび事業本部 事業開発部 保育支援推進リーダー

退職理由は結婚や介護 それ、本当の退職理由?

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保育士のコンディションレポート

  五月病を心配する先生はいませんか? 厚生労働省の調べによると、保育士の平均勤続年数は七・六年。全産業平均の十二・一年に比べると早期の離職者が多いですね。また、最も多い離職理由は、職場の人間関係のようです。寿退職や親の介護を理由にする保育士にも、実は人間関係が原因での退職者がいるかもしれません。採用難の今、退職の背景に潜む課題を把握し、対策を打つことが重要になってきました。

 

保育士の本音を経営に

  園長は保育士の日々の心の状態を把握していますか? ある園長は、面談を実施しているが、保育士の本音が引き出せているか疑問だと漏らしていました。人の想いを汲み取り、あるべき方向にマネジメントをするのはリクルートが得意とする分野。そこで、人材の適正検査と組織診断を手掛けるグループ会社と共同で、保育士の離職防止のためのコンディション診断サービスを開発しました。

 これは、保育士にモチベーションや働きやすさに関する設問を投げかけ、回答結果からコンディション(結果指標)とその背景(要因指標)を把握する仕組みです。利用した保育士からは「振り返りができた」「客観視できてよかった」「気持ちを知ってもらえて嬉しい」、園長からは「ネガティブな結果も把握し、課題共有できたことでお互いスッキリした」などの感想が寄せられています。

 「退職者が出たら補充」の繰り返しでは根本的な対策になりません。「忌憚のない声を聴かせて欲しい」というアプローチは、保育士に自分の意見が経営に活かされ、職場が良い方向に変わるという期待感をもたらします。こうした取り組みが保育士の本音を引き出し、退職につながる小さな芽を早期に摘み、働き続けたい職場をつくると考えます。

キッズリー

 キッズリーは、4月より保育園・幼稚園で働く保育者が日々やりがいを感じながら仕事を続けていくためのコンディション診断サービス「キッズリー保育者ケア」をスタート。保育者ひとりひとりが笑顔で働ける環境づくりをサポートしていきます。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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