父親の跡を継ぎ、姫路城にほど近い商店街にある写真スタジオのオーナーになった石田氏。ウエディングフォトグラファーとしては10年で1,000組以上の幸せなカップルを撮影してきました。
人生の転機は、長男がわずか500グラムの超未熟児で生まれたときです。懸命に生きようとする我が子を見守る日々の中で、「今日、生きていることの奇跡」を再認識した石田氏。日常生活を収めた写真を通じて今を生きている「奇跡」と、これまで生きてきた「軌跡」を見つめ、より豊かで幸せな暮らしを提案したいと、2013年に「キセキproject」を立ち上げました。このコンセプトに共感し、「大人が気軽に楽しく日常の写真を残す」という新たな文化の創造に関わるカメラマンは、全国で約70名を数えます。開催するたびに話題を呼ぶのは「ハグフォト」を撮影するイベント。文字通りハグをした写真を撮影します。「愛情を表現するハグによって誰もが一瞬で笑顔になる。ハグフォトは魔法の撮影」と石田氏は語ります。
そんな活動をしてきた石田氏が、ふと社会問題になっている保育の世界に目を向けました。保育の現場に足を運び、子どもたちと先生のハグフォトを撮影してみると、そこにはキラキラと輝く保育者の笑顔がありました。「その美しさに、先生たち自身に気づいて欲しい」。石田氏は、ハグフォトのコンセプトをベースに、保育者と子どもたちの日常を撮影し、発信する活動を始めることにしました。
愛と誇りを持てる保育者に
2月21日には東京で、28日には大阪でキセキprojectメンバーを招集し、早速この新たな活動についての情報共有をはかりました。カメラマンとして、あるいは保護者として園に関わっているメンバーが多く、保育者を笑顔にしたいという想いはスムーズに共有されました。「ハグフォトを通じて笑顔で幸せな写真を発信してきた経験で、先生たちが今の自分に愛と誇りを持ち、仕事をより楽しめるようにできたら」。そのやさしい眼差しは、今、頑張る保育者に向けられています。