IT研修会を見直して実践的な内容に 幼稚園の今に活かす

8月29日に開催された「園における情報発信」講座。申し込み受付から数日で満席となった。先生方の情報発信に対する関心の高さがうかがえる
幼稚園を取り巻く環境が変化する中、238ヶ園が加盟する社団法人静岡県私立幼稚園振興協会(相田芳久理事長)では、ホームページを一新し、会員の研修も充実させるなど、IT活用に積極的です。同協会の取り組みを取材しました。

 静岡県私立幼稚園振興協会では、これまで五藤泰弘委員長が率いるIT小委員会で会員向けのパソコン研修会を企画してきました。内容はニーズの高かったワードやエクセルでの文書作成やパソコンの基本操作が中心。テキストは市販のビジネスマン向けを用いていました。

 しかし、2011年の企画段階にて「これまでとは少し違ったテーマで、幼稚園の業務にすぐに役立つような講座ができないか」という意見が出ました。そこで、受講者からリクエストがあった「入園説明会で上映するスライド」と「卒園式で上映する動画」を制作する講座を企画することになりました。

 早速、先生たちの理解度が高まるように、オリジナルテキストの制作を講師に依頼。また、内容が具体的になる分、質問も増えることを見越してアシスタントも3名に増員しました。さらに、募集段階では対象者を「園長・事務長」と「保育を受け持つ先生」のクラスに分けました。すると、告知当日に定員をオーバーし、急遽追加日程を組むほどの人気でした。

 また、IT社会の現状を踏まえ、園の情報発信のありかたについて考える講座も企画しました。この講座では、ライティングスキルやコンプライアンス、無料フォントの入手、フェイスブックやツイッターなどを使った新しい情報発信について紹介しました。こちらもすぐに満席となりました。

 いずれも受講者の評判は上々。各自が疑問点を解消したり、新たな具体的活用のヒントを得たりしたようです。従来の研修会の常識を見直したことによって、会員の園の活動をぐっと後押しすることができました。

地域全体で情報力高める

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静岡県私立幼稚園振興協会ホームページ

 同協会は、今年6月にホームページをリニューアルしました。今回のポイントは各園が自園の情報を書き換えられるようにすることでした。協会のホームページは保護者にとって地域の幼稚園情報を一括で閲覧できる貴重な情報源です。園の方針や活動情報は、常に最新情報を掲載しておきたいもの。しかし、従来は管理業者に更新を依頼しなければならず、変更には数日を要しました。

 リニューアル後は必要に応じて園がメンテナンスを行えるようになり、かつ更新情報がトップページに表示されるようになりました。独自のホームページを持っている園は、協会のページを経由して保護者に情報を閲覧してもらう機会が増えました。

 このように、協会が主体となって地域の園全体でITを学んだり、実践したりする機会をつくることにより、各園の情報力が高まっていきます。やがて、その力は幼稚園自身や取り巻く環境をも変えていく確かな力となるかもしれません。

執筆者
鈴木あゆみ

パステルIT新聞編集長。特集の企画・ライティングほか、紙面全体の編集を担当しています。

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