2005年に開校したこども芸術大学。今年度は子ども41名、大人38名が通っています。瓜生山の緑あふれる京都造形芸術大学のキャンパス内にあり、芸術を学ぶ人々の心の豊かさが感じられる空間です。
午前9時。「おはようございます」。親子が続々と登校してきました。子どもたちは早速活動を開始。室内でも遊びますが、子どもたちは裏山にかけ上がるのが大好き。身近な自然から四季の移ろいを教えてもらい、遊びや学びに発展させています。お母さんたちは、子どもとの遊びを楽しむだけでなく、親同士の関わり合いも深めます。活動を振り返って意見を述べたり、企画書をまとめたりして運営に参加できることも貴重な経験。既成品のおもちゃは少なく、自然にあるものを見立てて遊ぶ知恵も身に付けます。
今日はリズムの日。ピアノの伴奏にあわせてステップを踏みながら、ホールを元気に走り回ります。子どもたちと一緒に走り回るお母さん、一方で、スキップができるようになったかをそっと見守るお母さんもいます。「できた!」。記念すべき瞬間に立ち会えて思わず涙ぐむ姿。得意げな表情で駆け寄ってくる子どもを笑顔で抱きしめます。
歌ったり、創作したり、自然に触れたり。自然と芸術を柱にした教育活動は多岐にわたっていますが、いずれも日常生活を中心に考えられています。日常から非日常的な発見が見出せるように。芸術大学が持てる環境、ノウハウ、人材は、そこに活かされています。
かけがえのない3年間を
心と体が大きく成長する3年間。「その時に物事への取り組み方や友達との関わり方を身近で観察するべき。リズムで前に出ないのは自信がないからか、前に出たくない友達に寄り添っているのかを見極めることができれば手助けも変わる」と芸術教育士の田畑さん。他の子どもたちとの関わりあい・育ちあいも「親の目」を養ってくれます。
同大学企画運営室室長代理の山本さんは「親子が互いに絆を感じ、充分な安心感を得ることで自然な自立ができる。だからこそ、この3年間に充分な愛情を」と語ります。活動目標は「わ」の中に入って感じること。輪に入り、和・話・環を大切にできる人が育つように、親子へ愛を注ぎます。