
令和6年度は当園の50周年であり、これまでを振り返る機会の多い一年であった。創立者である理事長や前園長にじっくり話を聞けるのも、今でなければ、という思いがあった。当園の特徴的な保育になぜ取り組んだのか、話を聞く機会を作った。わが園の保育の「原点」に出会う時間だった。
主体的な保育、直接体験、感覚を育てる幼児造形活動、インクルーシブ保育、保護者同士のつながり作りや父親の保育参加など。驚くほど「今の時代」が求めていることを、図らずも開園当初から行っていたというのだ。
「子どもの育ちに必要なことだと思って」理事長はそう言った。
社会環境は変わる。劇的に。ならば、変化に対応できる子どもを育てよう、そのためにあれとこれを身に付けさせてという話題を聞くが果たしてどうだろう。これまで多くの教育法が編み出され、時代を映しながらブームになってきたけれど、どれにも傾かず過ごしてきた50年。その理由はきっと、人間本来の育ち方は100年経っても、1000年経っても変わらないから。
人の育ちに沿った保育は、必要なことを必要な時に体験し学び、ごく自然体である。子どもは安心して育ち、自身の力を蓄え、困難に対応できるようになる。
子どもの可変性は驚くべきものだ。どうせ社会に適応する。だからこそ、本来の育ちを大切に、子どものほうを向いて保育をすることの重要性を再確認できた。
保育の答え合わせには、時間がかかるのだ。私も慌てずに進もう。この道に続く未来へ向けて。
認定こども園百石幼稚園(青森県) 園長 吉田 恵美 先生
The place to be happyを目指し、園に関わる人が幸せであるように、日々アイデアを絞る。高校、養成校等の指導経験から、幼児教育の重要性を痛感し保育に活かす毎日。














