この記事のポイント
- 対話からよりよい保育の未来を描く「あたほいスタイル」。1280名の熱量が結集
- こども誰でも通園制度、日本版DBSをはじめとした多様なセッションを実施
- 超少子社会における新しい保育・教育の形。注目の幼小連携事例
既存の概念やしくみにとらわれず、新しい保育の形を対話により生み出す「あたらしい保育イニシアチブ2024」。業種や立場、役割の枠を超えてセッションが行われるのが特徴で、今年も園経営者や官公庁関係者、大学教員、企業など多様な登壇者が熱のある議論を繰り広げました。
全11あるセッションの口火を切った第1セッションは、新たなこども施策として注目される「こども誰でも通園制度」「日本版DBS」がテーマ。こども家庭庁発足やこども基本法成立に尽力した自見はなこ大臣からは「大切なのは教育、福祉、療育、医療を融合した家族支援。身体、心、社会(環境)の面でウェルビーイングを実現する。各施策もこうした観点で真に求められるものを考えなくてはならない」と強調しました。全国認定こども園協会代表理事の王寺直子氏も、「従来の大人目線での施策とは180度異なる子ども目線の施策。指針にあるウェルビーイングの観点を踏まえることで私たちの保育内容も変わっていくのではないか」と変化の兆しに喜びを語りました。
対話からよりよい未来を共に描くのが「あたほいスタイル」。続くセッションでも、多機能化の現状や保育パートナーシップ構築におけるAI活用、人が集まる働き方改革、不適切保育の根絶、災害時のICT活用などさまざまなテーマで問いが投げかけられました。
ちいさなまちから 新しい教育を考える
中でも、超少子社会に向かう今、新しい保育・教育の形として注目されたのが、人口7300人の北海道安平町の幼小連携事例です。元園経営者で現在は安平町教育長の井内聖氏は、幼児期の学びの蓄積をベースに小学校の学びを広げるため、発達と活動にあわせた教室環境を構成し、5歳児担任を幼小架け橋推進員として小1教室に加配。この斬新なしくみは子育てを軸としたまちづくりとして話題を呼び、人口減に悩んでいた同町は人口増に転じたそうです。セッションの進行を担当しためぐみ学園理事長の輿水基氏は、「小さくなっていくことに対し前向きな希望を描く時間になった」とふりかえりました。
家庭と子育てに 夢を持てる世の中に
実行委員長を務めた(福)希望の会理事長の國原智恵氏は、「実行委員、登壇者、スポンサー、参加者、全員のベクトルが子どもに向いている。家庭と子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会をつくっていきたい」と想いを共有。あたほいに集う熱量と今後の展開に期待が高まります。
あたらしい保育イニシアチブ
2021年6月、保育関係者らが立ち上げた保育の未来を語り合うイベント。立場や役割を超え、官民学一体で開催している。
https://hoiku-initiative.jp/