千葉県船橋市の夏見台幼稚園には、「午後2時まで子どもを預かるAコース」と「午後6時まで子どもを預かるBコース」の2つがあります。一般的に幼稚園の預かり時間は午後2時までですが、同園のBコースは午前は縦割りの保育活動を、午後は横割りで英語や音楽、体操、認識遊びなどの活動を週間カリキュラムを組んで行います。
園内に保育園が併設されている同園は、0歳からの発達過程を踏まえた教育ノウハウを持っていることが強み。長く預かる、加えて発達段階を踏まえた視点という「保育園の特徴」と就学前の幼児への教育という「幼稚園の特徴」を併せ持ったこのBコースが、人気を集めているそうです。
もともと月々にかかるBコースの費用は6万円。幼児教育・保育の無償化に伴いなくなった保育料を差し引くと、約3万5千円が特定負担金と呼ばれる利用者負担額となります。
学園経営コンサルタントの石田敦志さんは、「利用者負担額を5~6千円とする園が多いなか、同園のBコースは高額。でも、すごく人気なんです。自園の教育性を高め、価値を認識してもらうことができている」と分析します。
ポイントは、ただ預かるだけではないということ。「計画をしっかり組み、専任の体制を敷き、預かり保育の中でも子どもたちの成長が担保されるようにすることが勝負」と石田さん。入園児の低年齢化や保育時間の長時間化に対応する人材を確保するためにも、教育価値を高め、保護者から適正な対価をいただくことも経営にとって重要になるといいます。
「SNSやLINEなど、ネットをフルに使って接点をつくる。0歳・1歳、マタニティのときから園と関われるようなしくみをつくる。なかには、保護者が保育補助として園内で過ごす『保育参加』を試みる園もあります。まずは母集団をつくること。園の中身が適切なものになっていれば、自然とその母集団からファンが集まってくる」と背中を押しました。