幼稚園には、朝から子どもたちの元気な声が響いています。園に到着すると、子どもたちはすぐに何かで遊び始めます。園庭を走り回ったり、縄跳びをしたり、室内では絵本を読んだり、お友だちとお話している子どもたちもいます。玄関を入ってすぐ、事務室の前には「工作コーナー」があります。廃材や工作道具、塗り絵プリントやカラーマーカーが並んでいます。
「先生、iPadを貸してください」。数人の男の子たちが事務室にいる野口園長に声を掛けました。「はい、どうぞ」。手渡されたiPadを工作コーナーの机上に静かに置くと、子どもたちは早速お気に入りのアプリ(ソフト)を起動しました。このiPadには一定の操作しかできないようにロックが掛けられています。子どもたちは「先生が『使っていいよ』って言ったアプリだけで遊ぶんだよ」と教えてくれました。今、1番人気なのは「おやこでリズムタップ」。曲を選び、上から落ちてくるマークを所定の位置でタップするだけで、誰でもピアノ(音階楽器)演奏が楽しめます。
1人目が遊び終わると自然に2人目の園児に交代です。やがて、子どもたちが集まってきました。「ボクもやりたい」と順番待ちに並ぶ子もいれば、画面をじっと見ているだけで楽しそうな子、メロディを口ずさむ子もいます。楽しみ方は様々のようです。「こうやってやるんだよ」。年中さんには年長さんがサポートしていました。順番待ちのルールも暗黙のうちにできたようです。新しいお友だちを受け入れるように、iPadを自然に受け入れている子どもたちなのでした。
一斉保育も変わってゆく
野口園長が最も気に入っているアプリは「おやこでスマほん」の中の「みんなでつなげっと」。絵本の中で、「困っている人」と「助けてくれる人」をつなげていきます。「指で街を『ピンチイン』(縮小)『ピンチアウト』(拡大)しながら、俯瞰的に見たり、部分的に見たりする操作は紙の絵本では味わうことのできない感覚。みんなとワイワイ言いながら遊ぶことで、社会性を伸ばすことが大切」と野口園長は語ります。また、「自由遊びでの利用を続ける中で、子どもたちがものごとに関心を持つきっかけにiPadが役立ち、学びが広がったり、誰かと一緒に何かをする機会が増えたりすることを実感できれば、一斉保育のあり方も変わっていくだろう」と続けました。
使い方次第でどんな道具にもなるiPad。その教育的な価値は、先生が子どもたちと一緒に使うことによって実感できるものなのでしょう。
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