昭和40年代から存在していたという歴史ある金谷幼稚園。2年ほど前、理事長が変わったのをきっかけに、今年度より齋藤さんが園長に就任しました。金谷幼稚園の新たな歴史の幕開けです。齋藤園長は、よりよい保育環境の整備と並行して、園児募集活動も積極的に取り組みました。そのひとつが園バスの購入を検討したことです。それまでのバスは、大人向けの地味なデザインでした。「園バスは子どもたちにとっても室の良いものを」という理事長の考えのもと、齋藤園長は、子どもたちにも母親世代にもファンが多い人気のキャラクター「ハローキティ」のバスを導入することにしました。
ハローキティバスは、7年間の「メンテナンスリース契約(車検や法定点検・一般整備等含む)」。購入するよりも車両管理や安全管理が楽になり、損金処理できることから財務・経理処理面でもメリットがありました。また、このバスは通園ルートが重なる園に導入されることはありません。これはキャラクターを愛してもらうために、その価値を大切に考えるサンリオ社の方針。本物志向だった齋藤園長にとってハローキティバスは、キャラクター品質やポリシー、バスの安全性や管理面などの条件を全て満たすものでした。
また、園内の掲示物は貼りすぎても情報が見えにくくなります。そして、剥がした跡が残るのも気になります。そこで、掲示物を貼る場所を定め、そこにはマグネットボードを設置しました。年間で決まっている行事は一覧表にして配布していますが、このマグネットボードにも掲示しました。保護者が来園するたびに繰り返し目に留まるようにしたのです。
インターネットの効果大
↑皆に注目されることは子どもたちにとってもうれしい様子
「キティちゃんバスの幼稚園」として親しまれるようになった金谷幼稚園。「園バスを見かけると、思わず笑顔になる」と保護者や地域の方々からも好評です。走行中には女子高生がケータイで写真を撮ったり、他の園に火曜子どもたちが興味津々の表情でバスを追いかけたりします。これには乗車している園児たちも上機嫌に。ピンクのバスですが、女の子だけでなく男の子にも人気で、「毎朝喜んで園バスに乗り込みます」と、保護者も笑顔で話してくれました。
金谷幼稚園では、いわき市の地域情報を集めた「ぐるっといわき」というホームページに園の紹介を掲載しています。そのため、ハローキティバスを見かけて園に関心を持ってくれた保護者が「いわき市 キティバス」というキーワードで検索し、問い合わせをしてくれるケースも増えたのだそうです。
ハローキティバスが園の知名度やイメージを少しずつ向上させ、園児募集に予想以上の効果をもたらしてくれました。園児増加に応じて、水色のバスの導入も予定されています。「園児を増やして必要な備品の購入や保育士の採用はしたいが、あくまでアットホームな雰囲気で、ひとりひとりに目を向けた少人数保育を実践していきたい」と語る齋藤園長。子どもたちの笑顔を載せた夢色の園バスは、送迎と園の宣伝活動の役目を果たしながら、今日も道行く人々を笑顔にしていることでしょう。