子どもたちの未来を創る学びには、「何を教えるか」以上に、どのような「在り方」でいるのか? が「場創り」には大切なことだと感じています。私たち大人は時に、知識やスキルの習得に重きを置きすぎ、子どもたちの本質的な成長や表現をあと回しにしてしまうことがあるのではないでしょうか?
私はこれまで、「教育アーチスト」の視点から世界22カ国を実際に訪れ、さまざまな文化や教育方針に触れてきました。どの国でも共通して大切にされているのは、子どもたち一人ひとりを尊重し、心の成長を促す教育の姿勢でした。
例えば、デンマークの教育は「幸福」を重視し、学びの場をストレスフリーな空間として、時として森の中での環境設定をするなどの姿勢が見られたりもしますし、子どもたちは競争よりも共創を学び、仲間との関係を通して自らの役割を探求していきます。
一方、イタリアのレッジョ・エミリアでは、子どもたちの好奇心を引き出し、自由な探究と個を尊重する教育が実践されています。
ここでは、子どもたちの発見を大人が拾いあげ、学びを共に作り上げる姿勢が印象的でした。
未来をひらく学びとは、自然との触れ合いや個性を尊重することで、大人も子どもも自らの「在り方」を見つけることだと確信しています。
彼らが自分らしく成長し、他者と共に歩む力を身につけるために、私たちが今できることを日々問い続けています。
学校法人SEiRYO学園(千葉県) 理事長 いぬかい 良成 先生
「地球と共に生きる」教育アーチスト。22カ国の教育を探求、SEiRYO学園理事長/禅僧・僧名「無巌(Bugan)」。著書に『子どもは「悪い子」に育てなさい』がある。