せいめいのもり(北海道)は、子どもが自ら遊びのルールをつくっていくように、保育者も保育文化の「あたりまえ」に捉われることなく、柔軟な働き方・生き方をしています。子どもの未来を守るために、保育者が大切にしたいこと。今回は、せいめいのもりの司馬園長の「原点」を教えていただきました。
私は経済学部の大学に行き、将来は一般の会社勤めを考えていたため、子どもとかかわりたいとか、子どもの将来の可能性について、保育を通して追求したいなどという崇高且つ熱い思いで始めた仕事ではありませんでした。
しかし、様々な経験を通して多くの学びから気付されたことがたくさんあります。もし、自分が心から人を信じなかったら周りは私を心から信じてくれるでしょうか? その関係性の中で、子どもを徹底して信じる保育を担任はできるのでしょうか。保育者が本当の自由を知り、思いを形にできる環境があると、自ら責任をもって意欲的に職務を遂行します。保育も一緒です。園庭には扱いを間違えると骨折につながる遊具があります。火の扱いも触れたい子どもに任せます。ケンカもします。年齢によりますが、各々の調整力を信じて保育者は止めません。気を付けや前ならえもしません。
さらに、不必要な保育文化も無くしました。保育者は四六時中エプロンをしません。昼食時に毎度歌いません。壁面も個性的です。ここに、園にかかわるすべての人の『生きること』への探求があります。抑圧されていない環境は、たくさんの創造を生み出します。これこそ『人生を全うする情熱』の育みと『内面の育つ力を引き出す』保育の本質なのだと私は思います。
せいめいのもり 園長 司馬 政一先生
学校法人清明学園理事長・幼保連携型認定こども園せいめいのもり園長。姉妹園にさつなえのもり・おかだまのもり・もえれのもりの他、昨年からニュージーランドでも保育施設を運営。