「幼児教育・保育の無償化」開始まであとわずか1年 保育士・幼稚園教諭の67.1%が無償化に反対 無償化に合わせ「更なる保育士の確保」と「保育の質の担保」も必要? <保存版>幼児教育・保育の無償化とは

「保育のお仕事」を運営する株式会社ウェルクス(本社:東京都台東区上野、代表取締役社長:三谷卓也、以下ウェルクス)は、1年後の2019年10月に全面実施される「幼児教育・保育の無償化(以下幼保無償化)」について、保育士・幼稚園教諭の有資格者を対象にアンケート調査(幼保無償化に関するアンケート調査)を実施しました。

【ポイント】
< 現役保育士・幼稚園教諭の67.1%が無償化に反対>
< 幼保無償化の不安要素は業務負担の増加が7割>
<82.8%が「保育士の確保」に重要性を感じている>

<現役保育士・幼稚園教諭の67.1%が無償化に反対>

アンケートの結果から、67.1%の保育士・幼稚園教諭が幼保無償化に反対との回答がありました(図1)。約7割の保育士・幼稚園教諭が幼保無償化に反対していることが明らかとなりました。

図1

<幼保無償化の不安要素は業務負担増加が 7割>

反対と答えた人に幼保無償化について不安に思うことを聞いたところ、74.0%が「業務負担の増加」、69.7%が「保育の質低下」、51.1%が「待機児童の増加」と回答し(図2)、以下のような声が上がりました。

  • 保育の必要性がない子供も預けられるようにり、現場の負担が増えてしまうのではないか
  • 園児の受け入れ枠だけ増やしても保育士不足が改善されなければ保育の質は下がると思う
  • 本当に保育が必要な子供が保育園に入れるように保育園利用に関して取り決めをしてほしい

図2

<82.8%が「保育士の確保」に重要性を感じている>

幼保無償化よりも必要なことは何かと聞いたところ、全体の82.8%が「保育士の確保」を求める結果となりました(図3)。

上述した「幼保無償化に対する不安」で上がってきた、「業務負担の増加」、「保育の質低下」は「保育士の確保」が進まない結果生み出される不安である可能性が高いことがわかりました。

図3

<幼保無償化がすべての人にとってよりよい取り組みとなるために・・・>

今回のアンケートでは、幼保無償化に67.1%が反対と回答する結果となりました。

この背景として、「業務負担の増加」(74.0%)、「保育の質低下」(69.7%)、「待機児童の増加」(51.1%)に多くの回答者が不安を抱えていることが考えられます。これらの不安要素はすべて「保育士の人員不足」によって引き起こされる可能性が高いです。

これを踏まえ、ウェルクスは、幼保無償化だけを推し進めるのではなく、更なる「保育士の確保」と「保育の質の担保」についても併せて対策を行っていく必要性があり、それが幼保無償化をよりよい取り組みにしていく可能性があると考えます。

<幼保無償化に関するアンケート概要>

  • 調査主体 :株式会社ウェルクス
  • 調査時期 :2018年9月
  • 分析対象 :「保育のお仕事」サイトを利用している保育士・幼稚園教諭の有資格者
  • 調査方法 :インターネット調査
  • 有効回答数:687人

ウェルクスは2013年より、保育士・幼稚園教諭の就職支援を行ってきました。保育士・幼稚園教諭を応援してきた企業として、現場の生の声を拾うべく、この度幼保無償化についてアンケート調査を実施しました。

保育園、幼稚園の現場からは「幼保無償化についてよくわからない」、「情報が四方八方に散見しているのでどこから正しい情報を収集すればいいのかわからない」という意見も多く挙がっています。

そのような現場の声に応えるべく、ウェルクスはアンケートと合わせ、幼保無償化について、「<保存版>幼児教育・保育の無償化とは」にまとめました。

<保存版>幼児教育・保育の無償化とは

【目次】

  • そもそも幼保無償化ってなに?~幼児教育・保育の無償化について
  • 幼保無償化はどんな場合に適用されるの?~完全無償?それとも条件付き?~
  • 幼保無償化のメリット、デメリット~少子化問題と女性の社会進出、待機児童と保育士確保~
  • ウェルクスが幼保無償化に期待すること~幼保無償化をよりよい取り組みへ~

そもそも幼保無償化ってなに?~幼児教育・保育の無償化について~

幼児教育・保育の無償化(以下、幼保無償化)とは、幼児教育の重要性に鑑み、すべての子供に質の高い幼児教育を保障することを目指すものです。2017年10月に行われた衆議院議員総選挙で勝利した自民党が掲げた政権公約に、幼保無償化が含まれていました。

2017年12月に内閣総理大臣が主宰した関係閣僚の会議では2019年4月から一部をスタートし、2020年4月から全面的に実施すると決まりました。

しかし、2018年5月末の段階で政府は改めて、2019年10月から全年齢の幼保無償化を前倒しでスタートする意向を示し、「経済財政運営と改革の基本方針 2018 について」(2018年6月15日閣議決定)にて、正式に2019年10月に全面施行されることが決まりました。

これにより、2019年4月から5歳児の幼保無償化が施行開始、2019年10月からは3~4歳児と一部の0~2歳児(詳細については次項に記載)の幼保無償化全面実施が予定されています。

無償化はどんな場合に適用されるの?~完全無償?どれとも条件付き?~

下記に2019年から施行される幼保無償化について、年齢と保育の必要性の有無別に説明します。

2019年4月より施行される5歳児と、2019年10月より施行される3~4歳児に関する幼保無償化パターンは下記の<3~5歳児の保育の必要性のある子供(※1)がいる場合><3~5歳児の保育の必要性のない子供(※2)がいる場合> を、2019年10月より施行される0~2歳児に関しては<0~2歳児の保育の必要性のある子供がいる場合>をご参照ください。

<3~5歳児の保育の必要性のある子供(※1)がいる場合>

<内閣官房:幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会報告書」を参考に作製>

3~5歳児の保育の必要性のある子供を園に預ける場合、以下の5パターンに分かれます

<パターン①>
「幼稚園」「保育所」「認定こども園」に預ける場合、幼稚園を除いてすべて無償となります。(幼稚園は月2.57万円まで)
<パターン②>
「幼稚園の預かり保育」に預ける場合、幼稚園授業料、保育料無償上限と合わせ月3.7万円まで無償となります。
<パターン③>
「認可外保育施設」に預ける場合、月3.7万円まで無償になります。
<パターン④>
「認可外保育施設」に預けながら「ベビーシッターなど」を利用する場合、月3.7万円まで無償となります。
<パターン⑤>
「幼稚園」、「保育園」、「認定こども園」に預けながら「障害者通園施設」に預けたい場合、ともに無償(幼稚園は2.57万円まで)となります(※3)。

<3~5歳児の保育の必要性のない子供(※2)がいる場合>

<内閣官房:幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会報告書」を参考に作製>

3~5歳児の保育の必要性のない子供を園に預ける場合、以下の3パターンに分かれます

<パターン①>
「幼稚園」、「認定こども園」に預ける場合、幼稚園を除いてすべて無償(幼稚園は月2.57万円まで)となります。
<パターン②>
「幼稚園の預かり保育」、「認可外保育施設」に預ける場合、無償化の対象外となります。
<パターン③>
「幼稚園」、「認定こども園」に預けながら「障害者通園施設」に預ける場合、ともに無償(幼稚園は月2.57万円まで)となります(※4)。

<0~2歳児の保育の必要性のある子供がいる場合>

0歳児から2歳児については、住民税非課税の世帯の場合のみ、認可保育サービスが無償化の対象となります。

認可外の保育サービスに関しても同様に、住民税非課税世帯の場合に限り月4.2万円を上限に保育料補助が受けられます(※5)。

無償化のメリット、デメリット~少子化問題と女性の社会進出、待機児童と保育士確保~

幼保無償化にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

ウェルクスが考える幼保無償化におけるメリット、デメリットをまとめてみました。

<無償化のメリット>

①少子化対策

少子化対策の一つに経済的援助の必要性が挙げられています。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、2人以上子供を持たない理由として60.4%が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と回答しています(※6)。

このように近年、経済的理由により子供を最小限しか持たない、もしくは持つことをあきらめている家庭が存在しているのは事実であり、少子化の一因といわれています。幼保無償化が始まれば、世帯の経済的負担が軽減されるため、子供を持つこと、2人以上持つことに前向きな家庭が増えるのではないかと期待されます。

②女性の社会進出

子供を教育・保育施設に預ける家庭が増えることにより、女性の社会進出の後押しができるのではないかと期待が寄せられています。

これまで経済的理由により預かり保育の利用を断念していた家庭は、幼保無償化により、預かり保育分の負担増を気にしなくて済むようになります。

子供を長時間預けられるようになれば、「就労を始めてみよう」、「もっと就労時間を延ばしてみよう」と考える母親が増えるのではないかと期待します。

③収入に関係なく教育を受けることができる

保育料や授業料の家計にかかる負担は、子供が多ければ多いほど大きくなります。

保育サービスを享受する際の経済的負担の大きさに関しては②の「女性の社会進出」でも述べましたが、経済的理由から幼稚園、保育園、こども園などの施設に子供を預けることを断念する家庭も存在します。

幼保無償化が実施されれば、こうした経済的理由により子供に幼児教育を受けさせることができない家庭が減り、多くの子供が親の収入に左右されず、教育を受けることができるようになります。

併せて、保育料や授業料が節約できた分、幼稚園や保育園、こども園等で受ける教育に加え、学習塾やピアノ、そろばん、スポーツなどの習い事の費用にあてる家庭も増えてくるのではないかと考えます。

<無償化のデメリット>

①保育士の職場環境の悪化

幼保無償化に合わせ、子供の受け皿を確保するため小規模保育園の増設や、既存園の定員数の拡大されることが予測されます。

こうした中、運営者は保育士の確保に苦戦する一方で、定員数を満たさなければならない義務があります。そのため自園採用だけでは保育士採用が追い付かず、近年では都市圏を中心に、民間の人材サービスを頼る運営者が増えてきています。このような場合、採用するための労力だけでなく人材サービスにかかるコストも大きく膨れ上がります。

なかには、人材サービスに頼っても人員を確保できず開園を取りやめざるを得ない保育園や、定員数を縮小せざるを得ない保育園も存在します。

保育士の確保が間に合わない場合、そのしわ寄せは保育士の職場環境に大きく影響します。具体的には残業の増加や休みがとりにくくなるなど、精神的にも身体的にも大きな負担がかかることが予測されます。

②保育の質の低下

幼保無償化に伴い小規模保育園が増設された場合、経験の浅い若手の保育士が多く集まる傾向があります。

同時に、小規模保育園では保育の経験を積んできたベテラン保育士が在籍する割合が少なくなるため、加配(※7)が必要な園児のイレギュラー対応ができない、園児の異変への発見が遅れてしまうなどの可能性も考えられます。

実際に今回実施したアンケートにも、保育士からその点を不安視する声が上がってきました。

このような状況が結果的に保育の質の低下を引き起こすのではないかと危惧します。

子供の受け皿を拡大するだけではなく、保育の質を担保するための対策も併せて行っていく必要があると考えます。

③待機児童の増加

これまで経済的理由により入園をあきらめていた家庭も申請することで応募者が殺到し、待機児童が急増するのではないかと危惧します。

2017年より幼保無償化を導入している守口市では、幼保無償化の導入前の2016年10月1日の待機児童数と導入後の2017年の10月1日を比較すると、導入後では待機児童が61人増加しました(※8)。

ウェルクスが幼保無償化に期待すること~幼保無償化をよりよい取り組みへ~

ウェルクスが行った幼保無償化に関するアンケート調査では、現場で保育と向き合っている保育士・幼稚園教諭は幼保無償化について不安を抱えているという回答が過半数を超える結果となりました。しかし、保育士・幼稚園教諭から多くの不安の声が挙げられる一方で、保護者からは幼保無償化を待ち望む声が多方面から上がっています。親の所得に関係なく保育料・授業料が無償化されることは画期的な取り組みであり、子供の数が多ければ多いほど経済的に救われる家庭も多いはずです。

2019年10月から始まる幼保無償化が保護者のみならず、保育士・幼稚園教諭ひいては、日本社会にとってよりよい取り組みとなるよう、ウェルクスは保育士・幼稚園教諭を支援する立場から、今後も幼保無償化の影響を見定めていきたいと思います。

保育のお仕事について

ウェルクスが2013年に開始した保育士・幼稚園教諭専門の就職支援サービスです。全国47都道府県でサービス展開し、都市圏を中心に4拠点に展開。エリア特化型のアドバイザーの配置が特徴でユーザーからは業界トップクラスの登録を得ています。

公式サイト

株式会社ウェルクスについて

株式会社ウェルクスは、人材不足が問題といわれている保育士や介護職の人材紹介業を中心に「保育」、「介護」、「福祉」、「学び」の領域で事業展開。福祉領域の社会課題解決のための事業を行なっています。

公式サイト

【本件に関する問い合わせ先】株式会社ウェルクス

広報担当:寺尾(saori-terao@welks.co.jp)
〒110-0005 東京都台東区上野3-24-6 上野フロンティアタワー13F
TEL:03-6284-2901(代表)

※1 …①就労・フルタイムのほか、パートタイム、夜間など基本的にすべての就労に対
応(一時預かりで対応可能な短時間の就労は除く)・居宅内の労働(自営業、在宅勤務等)を含む。②妊娠、出産③保護者の疾病、障害④同居又は長期入院等している親族の介護・看護・兄弟姉妹の小児慢性疾患に伴う看護など、同居又は長期入院・入所している親族の常時の介護、看護⑤災害復旧⑥求職活動・起業準備を含む⑦就学・職業訓練校等における職業訓練を含む⑧虐待やDVのおそれがあること⑨育児休業取得時に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること⑩その他、上記に類する状態として市町村が認める場合
内閣府:「保育の必要性の認定について」(保育の必要性の認定に係る「事由」について(全体像))より
※2… ※1以外
※3、4、5 …内閣官房:幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会報告書」
※6 …国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査(夫婦調査)」より
※7 …発達障害や自閉症、言葉の遅れなどがあると認められた子供がクラスにいる場合、国で決められた保育の配置人数(0歳児3人に対し保育士1人/1~2歳児6人に対し保育士1人/3歳児20人に対し保育士1人/4~5歳児に対し保育士1人)より保育士を1人多くつけなければならないと厚生労働省が定めた制度
※8 …大阪府:保育所等利用待機児童数の状況(H29-28各10月)
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