SDGsは園にとって近い話? 遠い話? 保育者が考えるSDGs 2030年と子どもたち

セミナーで想いを語る迫田理事長
国連サミットで採択された2030年までに達成するために掲げられた国際目標「SDGs」。持続可能な未来の主役を育むため、茶々保育園グループは園の理念や保育目標に意識的にSDGsを取り入れています。

 「SDGsは園にとって近い話ですか? 遠い話ですか? 園の理念や事業計画、保育目標にSDGsを取り入れている園はどのくらいあるでしょうか?」

 2020年11月に開催された保育博2020の主催者セミナーに登壇した茶々保育園グループの迫田健太郎理事長は来場した保育関係者にそう問いかけました。

 「SDGs」(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能で多様性と包摂性のある世界の実現のために掲げられた国際目標。貧困や飢餓、教育、成長・雇用など、17の目標が掲げられています。

 迫田理事長はSDGsと幼児教育の関連について、「幼児教育の仕事というのは、いまこの瞬間に消費されていくようなサービスではない。成果というものが何十年か先、世代を超えて花が開いていくような仕事。2030年を意識しないで、今日の教育をしてよいのか」と危機感を訴えました。

持続可能な未来の主役を育む

茶々だいかんやま保育園 保育室のイメージ図

 「育てているのは、未来」を法人ミッションとして掲げ、「オトナな保育園」をコンセプトに関東近県15園を展開する茶々保育園グループ(埼玉県入間市)は、2021年4月、東京都渋谷区に茶々だいかんやま保育園を開園します。

 なぜ「渋谷区」か。開園場所は、保育環境向上に取り組む渋谷区が新たに整備した地域福祉の中核を担う複合施設内。「産みやすく、育てやすく、預けやすい まち 渋谷」という理念のもと、施設内には区営住宅のほか、高齢者福祉施設、障碍者福祉施設、同園を含む保育園が併設されます。

 同グループは、今後の世界を語る上で不可欠なSDGsについて、「エコロジーのみならず、文化や街づくり、人々の接し方などを含めた全てのコミュニティの持続可能性を追求していくこと」と受け止め、開園を決めたそうです。

 そうした中、掲げた保育・教育理念は主に2つ。「自然に対する感性を広げること」と「社会形成に参加すること」です。

 土・風・緑・光・水にあふれた園舎で遊び、学びながら、環境や多様性への意識を高めるとともに、自らの考えや表現力、他者との会話から最適解を導く力を育みます。

 さらに、「子どもも1人の市民」という考えから、地域に向けて開かれた交流スペースとして「ちゃちゃカフェ」を併設。保育ドキュメンテーションを展示して、地域の人々と子どもたちの成長を共有します。また、社会と関わることの大切さを学ぶ「ちゃちゃマルシェ」を実践し、新園舎を通じてより積極的に街や人々と向き合い、社会のために子どもたちができることを見つけて実践していく予定です。

実践園の声 茶々保育園グループ(埼玉県入間市)

コンセプトは「オトナな保育園」
20年後の社会を見据えた保育を実践

編集部より

 「幼児教育の仕事はいまこの瞬間、消費されていくサービスではない」。だからこそ、未来を真剣に見据えて、情報を届けたいと強く思いました(服部)

執筆者
服部由実

編集長。企画・取材を担当。IT企業の広報部門に所属し、社外広報や採用活動に取り組んでいます。

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