信頼性は? 法的効力は? テレワークで見直し「押印文化」

社会的にテレワークが推進される中、押印のためだけに出勤する手間を省けるとあって、電子契約を導入する企業や大学が急増中。園ではどのように活用が進むのでしょうか?

押印文化見直し電子化でコスト減

 2020年4月、印鑑の電子化に向けて動きが速かったのは大手IT企業。フリマアプリのメルカリは、4月に押印を原則廃止し、電子署名やPDDF化した契約書にサインする方式に移行しました。また、ネット銀行や広告を手掛けるGMOインターネットも印鑑撤廃表明2日後には、グループ内での印鑑手続きを完全廃止。自宅でも承認決裁ができる電子契約に注目が集まりました。

 園業務では、要録や指導計画(年間指導計画・月間指導計画・週案・日案)、各申請書のほか、保育日誌や保育過程といった自治体へ提出が必要な書類など、印鑑が必要な書類は数知れず。

 印鑑の電子化は、書類の印刷・郵送準備にかかるコストや、郵送でのやりとりに費やす時間の削減などの課題を解決します。また、データベースで文書を保管することで、書類の保管スペースの節約や書類の紛失リスク回避にもつながります。これまで動きはあったものの、なかなか実現しなかった押印文化の見直し。今回のコロナ危機を機に、押印や書面提出の制度、慣行の見直しに期待が高まっています。

導入前にチェック!法的効力と信頼性

 時間もコストも大幅に削減でき、リスク回避にも役立つ電子文書による契約ですが、法的効力や信頼性がどの程度あるのか、疑問に思う方も多いはず。 ただ印影を画像化しただけの「電子印影」と、印影データに作成者や使用者、タイムスタンプなどの識別情報を保存したもので法的効力や信頼性が異なります。

 電子印影は、誰が押したかという「本人性」や、その電子データが改ざんされていないかという「原本性」が確認できません。文書に貼りつけたとしても、法的な効力は認印(意思証明を行う程度)と同等と考える場合がほとんど。 一方、印影データに識別情報が保存されている「電子サイン」は、メール認証などを用いて、電子文書へのアクセスをメールアドレスを受け取った本人に制限できるため、電子印影よりも証拠力が増します。 さらに、「電子署名」であれば、紙文書の「実印」と同等の効力を発揮。ただし、電子署名には「電子証明書」の利用申請をする必要があります。認証局が厳格に本人確認を行うため、信頼性が高い反面、取得の難しさから利用が進んでいないようです。

 まずは、無料ソフトやサービスが豊富な電子印影を試してみてはいかがでしょうか? 職員間や保護者間でのやりとりに使いやすそうです。

<専門家の声>

ひかり総合法律事務所 弁護士 武田 昇平 氏

 契約自由の原則により、電子文書による契約も適法です。電子署名と異なり電子サインは導入コストが低く、有効性を担保するための手段も講じられており、今後、様々なシーンで利用が広がることでしょう。ただし、法律上、書面が必須の契約(例:定期借地・定期借家契約、訪問販売等特定商取引の交付書面等)、電子化に相手の承諾や希望が必要となる契約(例:建設請負契約、労働条件通知書面等)があるため注意が必要です。電子印影は、本人性の問題や改ざんが容易なので、利用文書や使用者を明確にするなど、使用上のルールを定め園内で共有することが大切。職員が必要に応じてコピーし、知らずに重要な文書にも使用されている状況が起きないよう適正な管理を心掛けましょう。

ひかり総合法律事務所
執筆を終えて

 電子署名は企業でもなかなか導入が進まないところではありますが、共に導入の糸口を探っていきたいですね(芦川)

執筆者
芦川桃香

パステルIT新聞4面の絵本・書籍、セキュリティトピックスのコーナーを担当しています。

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